全身から音を立てて剥がれ落ちるように 自分を見失い始めていた
なぜ涙が流れるの・・・・何が悲しいの・・・・・
動けないまま立ちすくんでいるオッコに向かって ゆっくりと亮は近づき、包み込むようにやさしく抱きしめた。
言葉なんていらない
ただ 静かに抱き合ったままのふたり 亮はオッコの髪をなで されに強く抱きしめた。
その瞬間、我に返ったオッコは 亮から身体を離した。
どれくらいの時間だったろう・・・ほんの数分だったに違いないが オッコにはとても長く感じられた そう・・・・時の流れを埋め尽くすほどの長さだったかもしれない。
そんなオッコを前に 亮は・・・
『あ~あ 涙で顔がぐしゃぐしゃ・・鼻も真っ赤になってるぞ ほら・・・』
と笑いながら ハンカチを差し出してくれた。
二人は顔を見合わせ笑わずにはいられなかった。
8月も終わりに近づいてはいたが、夜の街は まだまだ汗ばむほど暑かった
二人は、時々肩を触れ合わせながら 銀杏並木を 黙って歩き続けた。
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- 微笑みはいつまでも(小説)
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